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SSS
第5章 叶えられた願い
小慣れた対応。
「僕たちは先に店に入ろうか。ね、麗夜?」
それはただ優しいというよりは、“あしらい方”を知っているような感じだった
「じゃあ、もう行くからごめんね」
「あっ、いえ……あの、はい!」
相手はもはやそれしか言えず、熱い視線に見送られながら二人はその場を後にしたのだった
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「昔はここまで親しくされることはなかったんだけど……やっぱりあの子の影響かな」
「……」
由貴が話しかけても麗夜はただ黙っている
とはいえそこに険悪さはなかった
「ハァ……二十年近く経ってもまだ引け目を感じているのかい?」
綺梨が生まれて間もなく、別のニュースが人々の間を駆け巡った
“長の隠し子”
“着任前に作られた私生児”
「別に珍しいことじゃない。僕の叔父にも複数の愛人がいる。褒められたことではないけれど……。
君に継承権を与えないことで全て丸く収まっているんだからいいじゃない。綺梨も無事成人したことだし」
「そんなことはどうでもいい」