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SSS
第5章 叶えられた願い
「それは違う」
はっきりとした口調に、長は驚いて麗夜を見た
そしてそれ以上に驚かされたのは、彼が真っ直ぐに–––これまでにないほど真っ直ぐに、自分の目を見てきたことだった
「確かにあんたは自分勝手で不器用で……綺梨はそんなところに窮屈を感じているかもしれない。
だが俺は……幸せだった」
そこにいろと言われることが。
自分を離さない家族という繋がりが。
初めて綺梨に触れた時、真梨子と彼女の間に感じた絆
あの時はそれを外から見ているしかなかった
「迷いながらでも……あんたは俺を受け入れてくれた。それが自分を受け入れるためのものだったとしても構わない。
それが親子ってやつだろう」
「……」
“ああ、こんなところは……”
臆すことなく自分をぶつけてくる
真梨子に–––母親に、よく似ている
「考えてみれば……今までこんな風にゆっくり話したことはなかったな」