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SSS
第5章 叶えられた願い
「……? 何?」
長の小さな呟きは、麗夜の耳には届かなかった
「いや、何でもない。
それより早く中に……」
「もう遅いわよ」
後ろから冷たい声が聞こえ、真梨子が姿を現した
続いて綺梨と由貴も地上に出て来る
「こんなところにいたのね! もう閉店の時間だって店長が」
「あ、ああ……すまない」
頭を掻く長に真梨子は顔を寄せ、そっと囁く
「また、何か変わった?」
「……さぁな。知りたいなら今夜教えてやる」
笑い合う二人に綺梨はため息を吐く
「嫌だわ……年頃の娘の前で」
「……綺梨」
麗夜が呼び掛けると、綺梨は振り向いてにこりと笑う
子供の頃から変わらない、なんとも愛くるしい微笑みだ
「髪に白いものが……」
「え?……あっ!」
優しく触れた麗夜の頭にも、同じものが降りかかる
「雪だわ!」
「本当だ……珍しいね、ホワイトクリスマスなんて」