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SSS
第5章 叶えられた願い



由貴は急いでポケットから手袋を取り出す



「……」



対して麗夜はただじっと手のひらに落ちては溶ける雪を見つめていた



「あ、そうだわ!」



綺梨は思い出したように手を打つと、学校指定の鞄の中から赤と緑の包み紙を取り出した



「これ、兄様に」



入っていたのは、少し不恰好な手袋



「自分で編んだの。まだ母様みたいに上手くは出来ないけど……」

「いや…ありがとう」



麗夜は素直にそれを嵌めてみせる



「クックッ……昔より随分マシになったじゃあないか」

「ちょっと、それどういう意味?」

「自分で下手だと言ったんだろう」

「下手とは言ってないわ!」



二人のやり取りの間で少し困惑する由貴



「……フフッ」



だがすぐに小さく吹き出し、それにつられて麗夜もますます笑いを大きくした



「由貴兄様まで!ひどい!」



男二人に手芸の腕を笑われて綺梨はむくれた


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