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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても



「それで……西からなにやら血と煙の臭いがしてきたが、首尾は」

「……リー」

「はい」



戦の将を務めたリーは、間違いなくそれを聞かれるだろうとすぐに膝だけで前に進み出た



「結論から言えば……シエラとの交易はなくなりました」

「……やはりな」



長たちは特に騒ぐこともなく、各々安堵や落胆のため息を吐いた



「戦でこちら側の死者はなく、サラディ側の被害が多数……結果、サラディ家の使者から相互不干渉の条件で今までの件を不問にすると」

「東方貿易の立役者になることを諦め異民族から国を守る英雄となる道を選んだか……変わり身の早い男だ」



フン、と一人が馬鹿にしたように鼻を鳴らす



「そもそも」



他の長も、ゆっくりと口を開き始めた



「初めからうまくいくはずなどなかったのだ。ヴィークの民との交流など」

「あの者たちは異端を嫌うからな」



報告以後黙っていたリーの頭に、ヴィークの海を見る少女の顔が浮かんだ


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