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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても



「しかし死者なしとは……”若長”どのはかなりの深手を追ったようだが」

「この程度」



明らかに皮肉を込めた呼称に対し、リーは豪胆に笑ってみせる



「ケチュア人の命と誇りのためならば、大したことはありません」

「殊勝なことだ」

「それに」



そのまま、表情を変えることなく続けた



「我々の勝利は俺の手柄ではなく、神の御意志……クオック・スーの思し召しですから。

俺の怪我も、神が望まれたこと」

「クオック・スーだと……!?」



今度こそ部屋中が驚き、騒つく



「なるほど秋の初めにこちらに異様に動物たちが多かったのは、そのせいか」



季節外れの大吹雪は、伝説と同じ

だが当然、誰一人として詩〈ウタ〉の通りに”真白き馬”が降り立ったとは思っていなかった

–––リーを除いて。



”あの男が現れなければ……俺たちは大勢の敵を前に希望を失っていただろう”



だからこそ己を鼓舞するためにあの詩を唄い、そしてその朝、レオンが現れた


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