この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても
来年もその次も、貴女に逢えますように–––。
“俺にとっての愛情節は、いつだってリリアに逢えるあの冬の夜だった”
ギスタールが滅びたと聞いた時は、憤ることしかできなかった
ただ自分のためだけに、彼女の無事を彼女の神に祈り続けた
“今は、違う”
もう二度と逢えぬであろう
'リー……!’
あの時 君は
'また会いましょう…! 必ず……!'
そう叫んだけれど
俺はもう分かっていたんだ
”神よ”
リーは、恋人を巡り合わせる橋を、その橋を掛けた神を見上げ–––
”どうか彼女が幸せに……愛する者と幸せにいますように”
リリアのために、そう願った
「……」
心の中で願った瞬間、西から強い風が吹いた
リーは星に満ちた空から目を外し、その方角を見やる
その風にはどこか潮の匂いが混ざっているような気がした