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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても
「ああ、そうか……君は」
リーは愛馬以外に誰もいない草原で、一人呟いた
”俺は知らないうちに……あのヴィークの海そのものを、愛していたのか”
リリアと、彼女が愛するものすべて。
そして彼女はこう願ったに違いない
自分の故郷に–––ヴィークに、幸あれと。
”神に祈るだけなら……神に選ばれたことに縋るだけなら、何も変わらない”
俺のなすべきことは–––
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「勝者、ガロ!」
毎回、この模擬戦でこの男に勝てる者はなかった
「さあ、次の挑戦者は誰だ?」
頭領を選ぶこの試合は、現役の長に一人ずつが挑む形で行われる
誰でも構わない
現頭領が負ければ勝った者に挑む
そして挑戦者がいなくなった時、長の地位はその者のものになるのだ
「俺がやる」
続いて歩み出たのは–––ガロと同じく部族長という立場にある、リュマ