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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても
ガロにとって最大の好敵手と言われながら、今まで一度も長の座を奪えずにいた男だ
総部族長よりいくつか若い彼はそれゆえ経験が劣っていたが、互いに歳を重ねた今となっては別。
少しでも若く体力がある方が有利だった
「……」
周りを取り囲む大勢のケチュア人たち。
その誰もが、自分たちの長が勝つようにと期待している
特にガロ一族とリュマ一族の緊張は相当なものだった
「こんな時に、リーはどこに行ったんだ?」
ハオが周りを見回しながらシュエンに尋ねる
「さぁ……もしかしたら、父親の負ける姿を見たくないのかもしれないな」
「おいなんてこと言うんだ」
キツい口調で返しつつ、ガロ一族はみなどこかで分かっていた
長がもう総ての長ではあれないだろうと。
そして期待していたリーはもう–––
「勝者、リュマ!」
ガロの喉元に突きつけた剣を引きながら、リュマは勝ち誇った笑みを浮かべた