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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても
ヴィークの民なら、これを見て思うだろう
”やはり彼らは蛮族だ”
と。
「よし、俺に挑みたいやつはいるか?」
リュマはいないだろうと思いつつ敢えて問いかける
それが伝統なのだ
「いないか?」
まだ誰も、名乗り出ない
「それでは次の長は……」
「まだだ」
伝統では、三度問いかけて初めて長として認められる
「まだ最後の問いが残っているぞ」
群衆の中から声を上げたのは、リーだった
「ほう……父親の仇を討ちに来たか」
リュマは冗談めかしてそう言った
「だがその腕でどうやって戦う?」
リーの腕は剣を握ることはおろか、動かすことさえままならない
使える左手に握られているのはケチュア人の大剣ではなく、護身用の短剣だった
狩猟民族の彼らが持つものではない
ヴィークの貴族たちが持つような金色〈コンジキ〉の武器