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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても
「でも…やっぱりな……」
相手は部族長
リーはガロに認められ戦さの指揮を担ったものの、まだその背を越えてはいない若造なのだ
「しま……っ」
不自由な右側からの攻撃にリーが迷いを見せた
その一瞬さえ、命取り。
「……その体でここまで戦ったことは、褒めてやろう」
リュマの勝利宣言が叫ばれ、立ち上がったリーに本人から声が掛けられた
「間違いなく、お前はケチュア人の誇りだ」
敵であってもふさわしければ誉れを与える
ケチュアの長らしい態度に、リーも素直に頭を下げた
「しかしなぜそうまで長になりたがる?
それとも、再び己が武力を示したかったのか?」
「いいえ、長……」
昨日まで父親のものだった称号を、リーはリュマに向かって呼びかける
「ケチュア人の……ケチュア人とヴィークの人々の、未来のためです」
よく通るその声は、見守っていた群衆を大きくどよめかせた