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フェアリーキット。
第1章 第一日目 月曜日。
 ピンポン……。

 春休みの三日目の朝。

 私はインターホンに起こされた。

 ――誰か、出て……。

 結局、私が出ることになった。

 寝ぼけ眼で枕元の眼鏡を探る。

「ハイ……」

 掠れる声で応える。怒ってるんじゃないか、とよく言われるけどそうじゃない。

『おはようございます。お届け物です……』

 インターホンの声がやけに明るい。

 軽く咳払いする。

 ――朝っぱらから……。

「置いといて……」余りにもぶっきらぼうな返事をしてしまって、慌てて「……下さい」と付け足した。

『あの……ハンコが……』

 ――ああ……。

 スマホのカメラで顔をチェックする。血の気のない酷い顔……。それに寝ぐせでグシャグシャの髪……。悲惨な顔。

「……少し待って……」


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