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本の夢…
第11章 バイバイ…
「さて、上垣さん。現実での本当の恋はちゃんと見つかりましたか?」
先生が先生の様な口調で聞いて来る。
私はゆっくりと深呼吸をする。
「塚原 雷生さん。貴方が好きです。私とお付き合いをして下さい。」
もう先生ではない男の人に私は生まれて初めての告白をした。
そして先生に手を差し伸べる。
「是非。」
素敵な笑顔で先生が私の手を握る。
「僕の部屋に行こう。」
先生が私の肩を抱いて歩き出す。
公園を抜けても先生は私の肩を抱いている。
新たな恋の始まりだった。
もう秘密の恋でなく、本物の愛を2人で堂々と育む恋が始まった。
先生に促されるようにして歩いた。
えっ!?
先生が私のマンションに入って行く。
先生の家って言ってたけれど、私の家?
エレベーターに乗ると先生が8階を押す。
「先生!?」
「家主は8階に住んでると聞かなかったか?」
でも、家主さんはマスターだよ?
私の部屋がある7階は扉が5戸ある。
8階には2つだけ…。
「こっちが父さん達が住んでいる部屋。僕の部屋はこっち…。」
もう1つの扉を先生が開ける。
「お父さん!?」
「喫茶店のマスターに名前は聞かなかったの?塚原 雷同(らいどう)は僕の父さん。」
先生がニヤニヤと笑う。
叔母さんが言っていた、ある人とは先生だと理解をした。
先生は私の卒業前からちゃんと私の事を考えてお父さんが家主さんをしているマンションや喫茶店でのバイトを考えてくれていたんだとわかる。
「先生ぇ…。」
先生の部屋に入るなり先生に飛びついていた。
「もっと、早く夢が気付いてくれる事を期待してたのに…。」
先生が膨れっ面をする。
「もっと早く言ってよ。」
「夢に本当の恋を見つけて欲しかったんだ。」
子供みたいに先生が拗ねている。