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本の夢…
第5章 2人の我慢



「僕は夢をずっと見ていた。毎日、図書館に来る夢をずっと見ていた。1人で寂しい顔をして本を探す夢をずっと見ていて夢が欲しいと思った。」


先生が私の顔を撫でて話をする。


「だから…、変な学生とキスをして身体を触らせている夢に悲しくなった。1人で寂しいからと本の中に逃げて変な男に好きにさせている夢が嫌だった。」


先生の唇が私の唇に触れた。


「夢をこれ以上1人にはしないと決めた。だけど本当は僕にはその権利がない。僕との関係がバレたら夢は将来を失うかもしれない。」


先生が俯いてしまった。

先生に抱きついた。


「先生と一緒に居るよ。誰にもバレないように秘密の恋のままでも、ずっと先生と居たいの。もう1人になるのは嫌だよ。」


今まで以上に先生を求める感情が増えた。

絶対に失えない私の先生だと思った。

毎日、2人で図書館で抱き合った。

キスをしてお互いの体温を大切に抱きしめ合う。

だから離れる時は毎日が辛かった。




卒業式の日、斉藤先輩に呼び止められた。

逃げようとした。


「ごめん、逃げないで話を聞いて欲しい。」


先輩が真面目な顔をしていた。

先輩は自分の話を始めた。

先輩の両親も先輩が1年生の時に離婚をすると言って毎日が喧嘩になったらしい。

先輩の場合は私と違って親が先輩の親権争いをした。

親が先輩を取り合えば取り合うほど先輩は孤独を感じて自分が嫌になって勉強とかしなくなったと言った。


「お前もいつも1人だから…、気になって声を掛けたんだ。」


先輩が照れくさそうに笑った。

初めて先輩が笑ったのを見た。

きっと先輩がこうやってもっと笑顔を見せてくれていたら私の恋愛は違う形になっていたかもしれないと思った。



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