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本の夢…
第7章 打ち砕かれた夢
「大丈夫だよ。夢が自信を持って将来に向かって進めば先生は推薦を出してくれるよ。」
千聖ちゃんは笑ってそう言った。
先生はそうだと思う。
だけどお母さんは?
そんな不安が頭から離れなかった。
放課後、お母さんを待つのに正門に向かう。
今日は図書館に行けないとため息が出る。
お母さんが仕事をギリギリまでするからと三者面談の時間は私が最後。
時間は4時半から…。
やっと来たお母さんから
「仕事のある平日に呼び出すとか迷惑だわ。」
と言われた。
私だって呼び出したくないと思う。
でも、お父さんを呼んだら、またお父さんと私に
「私はそんな話を聞いていないわ。」
って怒って文句を言うでしょ?
もう…、そういうのはうんざりなんだよ。
自分の言いたい事を飲み込んだまま、黙ってお母さんと先生が待つ教室に向かう。
一応はお母さんも
「いつも娘がお世話になっています。」
と母親らしく挨拶をしてくれる。
「お掛けになって下さい。」
先生のその言葉で三者面談が始まった。
「まず、上垣さんですが、2年生から突然頑張りを見せて、今はとても優秀な生徒になっています。」
先生のその一言でお母さんが少しご機嫌に笑う。
「それで、上垣さんの希望は司書教諭という事なので、こちらの大学がお勧めだと思うのですが…。」
先生が勧めてくれた大学は司書養成の単位と教員養成の単位の両方がある大学。
かなり大変かもしれないけれど私が頑張れば、学校だけじゃなく一般図書館の司書にもなれる資格が取れる大学だからと先生が言う。
「司書教諭?」
お母さんの顔が歪んだ。