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本の夢…
第7章 打ち砕かれた夢
嫌な予感がした。
「ええ、学校図書などの教員です。」
「それってまともに1人で生きて行く為の安定した収入はあるんですか?」
「安定ですか?」
「高い授業料の私立大学に4年も通わせて、安月給のつまらない職業でまた親のスネかじりをされても困るんですよ。」
「司書教諭は立派な職業です。確かに給与面はあまり良いとは言えませんが自信を持って胸を張れる職業だと思います。」
「世の中、自己満足じゃ食べて行けないんですよ。」
お母さんの辛辣な言葉に先生が困った顔をする。
「でも、上垣さんもそれを目標に頑張っていますし…。」
「その程度を目標とは言いません。やっぱり出来の悪い子はその程度しか出来ないんだわ。」
お母さんが眉間のシワを指先で摘んだ。
私の大学の費用は今の家を売って支払うとお父さんが言っていた。
私の4年間の学費と生活費を差し引いた残りをお母さんと折半するという事で離婚の同意が決まっている。
だから、少しでも学費の少ない学校に行って欲しいと思っているお母さん…。
お父さんも新しい子供が生まれたから、その子にお金を使いたがっている。
私は要らない邪魔な子…。
私の将来なんか安月給の役立たずな夢だとお母さんが否定をする。
「もう…いいよ…。」
そう言っていた。
「上垣さん?」
担任の先生が驚いた顔をする。
「もういいって言ったんだよ。大学なら奨学金の申し込みをするし、生活費はアルバイトをするよ。司書教諭になれるまで私は1人で頑張るよ。だから、お母さんもお父さんも、私にはもう何もしてくれなくていいよ。司書教諭の仕事を馬鹿にするくらいならお母さんはもう帰って自分の仕事だけすればいいよ。」
そう一気に捲し立てると私は教室を飛び出していた。