この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
本の夢…
第7章 打ち砕かれた夢
図書館に向かって走っていた。
きっと、もう図書館は閉まっている。
でも、先生がいる事を願って走る。
5時10分…。
図書館の扉に手をかける。
鍵がかかっていない…。
先生はいつもきっちりと5時に閉める。
そうしないと本の返却にギリギリで来る子が多発するからだ。
返却時間というルールを守らせる為に先生は絶対に5時に閉める。
なんで?
鍵が開いているの?
ゆっくりと図書館の扉を開いた。
見たくないものを見た。
先生の腕の中に私じゃない女の子が居た。
先生の真っ白なシャツをギュッとその子が握った。
先生の手はその子の肩を抱いている。
私はマヌケにもそんな光景を涙を流しながら見ている。
先生の秘密の恋は私だけじゃない?
先生の腕の中は私だけの居場所じゃない?
私のそばに居てくれる先生は他の子のそばにも居る先生…。
やっぱり私は1人なんだ。
お母さんが言うように1人で生きて行く力が必要なんだ。
誰もが私の事なんか要らない子だと思っているから…。
私の存在は迷惑なだけの存在なんだ。
そのまま、図書館から離れて次は学校から飛び出していた。
無我夢中で走った。
家に帰りたくなくて、おばぁちゃんの家に向かって走っていた。
だけど、おばぁちゃんの顔を見るのも辛くておばぁちゃんの家も通り過ぎて、あの公園に向かった。
バラ園にガゼボがある公園。
私の恋が始まった場所。
そして私の恋が終わる場所だと思い、私はその公園に向かって走った。
日が暮れて真っ暗になったバラ園に入る。
ガゼボには誰も居ない。
ベンチに座る。
先生と過ごしたベンチ。
先生との思い出を思い出しながら、一気に溢れた涙を流して泣き続けた。