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本の夢…
第7章 打ち砕かれた夢
何時間泣いたかわからない。
「ねぇ、君、1人?」
知らないおじさんに声を掛けられた。
ヨレヨレのスーツにだらしないネクタイ。
髪はハゲててお父さんくらいの人。
「可愛いね?失恋でもしたの?」
その人がガゼボに入って来る。
お酒臭い…。
「いいね…、学生って恋愛とかそんなくだらない事で人生が終わったみたいな顔で泣けるから…。」
おじさんが一方的に話掛けて来る。
くだらない事?
恋愛ってくだらない事なの?
「どうせ、子供の男と付き合って振られたとかその程度で女の本当の悦びも知らずに泣いてるんだろ?」
ちょっとムカついた。
「子供とは付き合ってません。」
「ああ、なら、アンタが子供だから捨てられたんだ。」
その人がベンチの私の隣に座って来た。
私が子供だから捨てられた…。
その言葉にまた涙が込み上げて来る。
「泣かなくていいじゃん?要するに君が大人になればいいだけだ。」
「大人に…?」
「そう…、大人の割り切った付き合いって奴さ。なんならおじさんが相手をしてやるよ。1回3万…、ご飯とか食べさせてあげるし、服も買ってあげるからさ。」
そのおじさんの手が私のスカートの上から太股を触り出す。
本当は逃げるべきだった。
でも、割り切った付き合いならお金が稼げるんだとか考えてしまった。
お金が稼げたら、お母さんともう会わずに済むとか思う自分が居た。
「1回…、3万…。」
おじさんの言葉を呟いた。
「そう…、月に2回くらい会おうか?もっとお金が欲しいなら他の大人も紹介してやるよ。」
身体を売る。
本でも読んだ。
でも、その現実を私は理解していなかった。