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本の夢…
第9章 海よりも…



バレンタインデーの時はもっと可愛らしい子に見えた。

今は、ゲッソリと痩せていて病的だと感じる。


「図書館なら…、もう閉まってる。」

「でも、上垣さん…、図書館から出て来たよね?」


佐川さんのギラギラとした目に怯えてしまう。


「塚原先生は居たの?」


佐川さんが少しうっとりとした表情を浮かべた。


「うん…、本当は3時に一度帰ったんだけれど、図書館に落し物をしたみたいだったから、塚原先生に落ちてなかったか聞きに来たの…。」


必死に考えて言い訳をする。


「そうなの…、落し物は見つかった?」

「うん…、先生が見つけて拾ってくれていたの。」

「あぁ…、やっぱり塚原先生って優しいよね?私も今から先生に会いに行ってみようかしら…。」


彼女の目はもう私ではなく図書館しか見ていない。

本当はそんな事を絶対に先生は認めてくれないと私にはわかっている。

だけど、今はそれを言える立場じゃない。


「じゃあ…、私は帰るね…。」


図書館をうっとりと眺め続ける佐川さんを残して、その場を逃げるようにして立ち去った。

ノイローゼ…。

勉強から逃げたくて佐川さんが先生に縋ろうとしている。

気持ちは理解が出来る。

私だって…。

1人ぼっちが怖くて先生に縋った。

帰ってから先生に携帯でメッセージだけ送った。


『明日から、図書館の閉館時間に帰ります。詳しくは週末に…。』


そのメッセージの返信が1時間後に来た。


『わかった。』


先生のメッセージに涙を流してしまう。

私が頑張り過ぎているからと先生は私を心配してくれていた。

私が佐川さんみたいにならないようにと海に行く事を提案してくれたんだと思った。

先生の優しさと報われない佐川さんの可哀想な恋心に涙が溢れて止まらなかった。



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