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本の夢…
第9章 海よりも…
私だけが不幸だとばかり思って本の中に閉じ篭った。
先生に現実を見なさいと教わった。
斉藤先輩は高校を出たら1人じゃないと感じると言っていた。
今なら、先輩のあの言葉がわかる。
不幸なのは私だけじゃない。
私は1人じゃない。
斉藤先輩も佐川さんも現実という世界に立ち向かって苦しんだ。
斉藤先輩はきっと自分の道を見つけて苦しみが終わった。
私も塚原先生という道を見つけて苦しみが幸せに変わった。
佐川さんにもその苦しみから早く抜け出して欲しいと願った。
現実は本のようには行かない。
改めて、そんな事を考えるようになった。
その翌日からの図書館は先生が鍵をかける前に図書館を出る。
木曜日…、金曜日…。
先生に指1本、触れる事が許されない自分がこんなに辛いものなのだと初めて理解をする。
早く、早く日曜日になって…。
恋とは禁断症状を起こす危ない薬のようなものだと思う…。
だから、佐川さんがあんな風になってしまったんだと考えると怖くて身震いをしてしまう。
ちゃんと乗り越えて頑張らないと…。
そればかりを自分に言い聞かせて勉強に集中をした。
待ちに待った日曜日…。
ざっくりと編まれたトートバッグに荷物を詰める。
中布にファスナーがあるから使い勝手が良くて買ったお気に入りのバッグ。
去年の夏は未来ちゃんと未来ちゃんの彼氏とプールに行った。
未来ちゃんが私に似合うと言ってくれた水着。
フリルがたっぷりと付いたバンドゥビキニ…。
おっぱいが小さくても可愛いからわかりにくいって未来ちゃんが言ってくれた。
着替えのワンピースは先生が誕生日プレゼントにくれたワンピース。
早く先生に会いたくて家は早めに飛び出した。