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本の夢…
第9章 海よりも…



運転をしながら先生が私の手に口付けをする。


「嘘だよ…、今すぐにでも夢を抱きたくて堪らない。」


先生の言葉にきゅんとする。


「今日はいっぱい楽しもうね…。」


少し照れくさくて先生にそう答えていた。

空色の車が海に着いた。

先生は手慣れているように駐車場に車を入れる。


「こっち…。」


先生が私の手を握って海の家に向かう。

海の家ではちょっと年配の老夫婦が焼きそばを焼いていて、ソースのとてもいい香りが食欲を促している。


「おばちゃん、更衣室とロッカーを借りるよ。」

「あら、雷ちゃん…、いらっしゃい。」


エプロンを付けて真っ黒に日焼けをした少し小太りのおばさんが先生に子供みたいな呼び方をする。


「先生…?」

「叔母なんだよ。僕の父さんの妹…。」


先生が照れくさそうに笑った。

先生の本当の家族…。

老夫婦をまじまじと見る前に先生に更衣室へと押し込められた。

とりあえずは水着に着替えてロッカーに荷物を預けてバスタオルだけを抱えて海の家に戻る。

更衣室には温水シャワーもあるから帰りは安心だとか思った。

紺色のショートパンツの水着に真っ白なTシャツを着た先生が焼きそばを持って私を待っている。


「夢はジュースを持って来て…。」


先生に言われて海の家の老夫婦からジュースを2つ受け取った。


「雷ちゃんも、そんな生っ白い身体をしてたら可愛い彼女に振られちゃうよ。」


先生の叔母さんが先生の身体を見て笑う。


「わかってますよ。だから、わざわざここまで来たんだから…。」


先生が膨れっ面をして大きなパラソルが差してあるテーブルへと向かった。



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