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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち

「命令よ。形に残らないものは、受け取りなさい。
そうしないと、あなたが居られないようにするわよ。」


思えばこれが私の最初の命令だった。

「わ、わかりました。」



こうして、形の残らないプレゼントを受け取ることにする。

何回か受け取るようになって、花束やケーキの中に手紙が入っているようになる。

「沙絵ちゃん寂しくない?」

「元気にしてる?」

「会いたいなあ。」


そして私も返事を書く。


「それは…」

「私の命令が聞けないの?
受け取る時に渡すだけよ。
それならクビにしてもらうように言うから…」

「は、はい、お嬢様。」


お祖父様とは、あれ以来口を聞いていない。
そのことで、お祖父様がお手伝いさんを叱っているのを聞いたのだ。

『ワシの命令が聞けないのか、沙絵を連れてこないとクビだ。』

どうやら『命令』と『クビ』と言うとお手伝いさんは言うことをきくと学んだのだ。

私は生きるべき知恵として人の上に立つことを学んでいった。


『おとうさま、おはなやけーきをありがとう。
さえのへやは、にかいのかどにあります。
おとうさまが、かえるところがみえます。
こんどみてください。』
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