この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
お手伝いさんが毎日同じように断る。
その人は、
「沙絵に花だけでも渡してください。」
「このお人形だけでも…」
と毎日私へのプレゼントを持って来るのだ。
ある時、椅子を窓際に置いて見ていたら、塀の向こうにその人の頭が見えた。
椅子に立ったら、もっと見えた。
「お父様…」
優しそうな人だった。
私はその人の名前を知らないので、つい、そう呼んでいた。
お祖母様のお手伝いさんが、私のお世話をしてくれていた。
「ねぇ、毎日くるあの人、何を持って来るの?」
「お嬢様、ご存知でいらしたんですね。」
「ねぇ、教えて…」
「お人形やお花やケーキをお嬢様にと…」
「私に?」
「あ、いえ…あの…」
「大丈夫よ。あの人が私に会いに来てるのも、名付け親だってこともお祖母様から聞いてるから…」
「あ…旦那様に叱られてしまいます。」
「ねぇ、お花やケーキはもらってもわからないわ。
お祖父様いないんだし、
明日から受け取って、もったいないわ。」
「でも…」
「私のお世話をするために来たんでしょう?あなた、私の言うことが聞けないの?」
「あ…でも…」