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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
初めての抱擁は、怒ったお父様は痛い…という感覚だった。
「あぁ…良かった。」
「お父様…会いたかった。」
お手伝いさんが後から上がってきた。
「だめです。」
「沙絵が窓から落ちたらどうするんですか…」
「あ…あ…すみません。」
「ねぇ…会うことも、あなたが喋らなければ形に残らないわ。
命令よ…黙っていなさい。」
「あ…はい、わかりました。」
お父様は、窓から落ちるのではと気が動転していて、後になって尋ねても、私の発言は記憶にないらしい。
でも、この事件から、私はお父様と毎日内緒で会うことができるようになったのだ。
「沙絵は何で僕のことをお父様と呼ぶの?」
「だって、お祖母さまが、名付け親だって教えてくださったから…」
「でも、沙絵のお父様じゃないよ?」
「わかってる。でもお父様になるために毎日来てるんでしょう?」
「そうだよ。」
「私、お父様と一緒にいたいわ。」
「お祖父様に頑張って頼んでみるよ。」
沙絵と再会して数日後、お手伝いさんから、沙絵が寝込んでいるから会わせることが出来ないと断られる。