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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
心電図は明らかに警告音となった後、ピーーー
一定の音を放ち、波形の画像が直線になる。
「沙織?」
手を揺すっても反応がない。
「赤ちゃんが落ちてしまいますから…」
後ろから男性医師に抱えられ、引き剥がされた。
「赤ちゃんは無事生まれましたが…残念ですが、お母様は…」
もう片方の手は、胸に置かれた赤ちゃんをちゃんと抱えていて、沙織は、微笑みながら眠っているようにしか見えなかった。
『この子をよろしくね。』
沙織の最期の言葉を反芻する。
ナースが赤ちゃんを抱えあげようとする。
「待ってください。沙織に赤ちゃんを抱かせてやってください。
赤ちゃんにできるだけ沙織に抱かれる体感をあげてください。」
「お母様の温もりが残っている間だけですよ。硬直が始まってしまいますから…」
「わかりました。」
僕は赤ちゃんの背中を撫で、沙織の髪を撫でながら、二人を抱き締めた。
「沙織、頑張ったね。赤ちゃん、元気だよ。約束は守るから…」
ところが、法律の壁に阻まれてしまう。
「沙織さんの血縁者はいますか?」
「いえ。」