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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち

子供の性別が分かり、名前を考えようというと、

沙織は生まれて顔を見てから決めたいと言った。

今から思えば、自分の命の危機を感じ、目標を先延ばしにして、ギリギリまで頑張っていたのだと思う。


寒い冬が終わり、春になる。体調も良くなっていくだろう。

そんな時に予定日よりだいぶ早くに破水してしまう。病院に着きそのままストレッチャーで分娩室に運ばれた。

無知な僕には、待たされる時間が長いのか普通なのかも分からなかった。

赤ちゃんの産声が聞こえると同時に、慌ただしい感じになる。

ナースに呼ばれて分娩室に入るように言われた。

沙織の胸に赤ちゃんが乗せられていた。


生まれたんだ…

でも部屋の中の様子は緊迫していて、沙織には点滴が繋がれ、酸素マスクをしている。

心電図の機械音は警戒を伝えるような感じがする。

ナースに沙織の顔の近くに連れていかれると、
僕を見つけ微笑む沙織が、酸素マスクを外す。


「ゆう君…この子をよろしくね。」


言い終えると、微笑みながら瞼を閉じた。

「沙織?」

だらんと下がる酸素マスクを持つ手を握る。


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