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愛の終わりは最高のデートで幕を下ろそう
第2章 二人のラスト・ドライブ

【魔法のスパイスの名前は「あなたとの思い出」】
「本当に良い天気ね」
「うん?ああ・・そうだね。良かったよ。せっかくのきみとのドライブなんだから晴れてくれないと神さまを呪う」
黙って考え込んだ彼を邪魔をしてあげる。いくら考えても堂々巡りに決まってるから。
「最後だから晴れてくれないと。いくら何でも悲しいわ」
「やっぱりきみ・・ああ、この話はあとにしよう。さあ着いたぞ。あのレストランが我々の目的地だよ」そう言って夫は、道路脇に建つカジュアルな雰囲気のレストランの駐車場に車を入れた。
高台の上にある白い壁の小さなレストランだった。その佇まいがわたしの記憶を呼び覚ます。
「あなた、ここは確か・・」
「そう。あの日、きみと結婚する前にドライブした時に入った店さ。きみに黙ってこっそり予約しておいたんだ」
「若き日の思い出のレストランか。あなたったら、相変わらずね」
「相変わらずって?」
「ロマンチストっていうことよ」
「ありがとう。今の僕には最高の褒め言葉だ。ロマンチック大いに結構。さあ入ろう」
そのレストランはわたしの記憶のままだった。わたしたちは海を一望する窓辺の席に座る。
あの時のわたしはまだ若かった。大学を出て間も無くだったから二十三歳ぐらい。
あれからもう十年経つんだ。そう思ったとたん、失われた時は取り戻せないという痛切な思いに胸の奥が痛んだ。
もしもあの日に戻って彼とのことをやり直せたなら、絶対にこんなエンディングにはしないのに。
「本当に良い天気ね」
「うん?ああ・・そうだね。良かったよ。せっかくのきみとのドライブなんだから晴れてくれないと神さまを呪う」
黙って考え込んだ彼を邪魔をしてあげる。いくら考えても堂々巡りに決まってるから。
「最後だから晴れてくれないと。いくら何でも悲しいわ」
「やっぱりきみ・・ああ、この話はあとにしよう。さあ着いたぞ。あのレストランが我々の目的地だよ」そう言って夫は、道路脇に建つカジュアルな雰囲気のレストランの駐車場に車を入れた。
高台の上にある白い壁の小さなレストランだった。その佇まいがわたしの記憶を呼び覚ます。
「あなた、ここは確か・・」
「そう。あの日、きみと結婚する前にドライブした時に入った店さ。きみに黙ってこっそり予約しておいたんだ」
「若き日の思い出のレストランか。あなたったら、相変わらずね」
「相変わらずって?」
「ロマンチストっていうことよ」
「ありがとう。今の僕には最高の褒め言葉だ。ロマンチック大いに結構。さあ入ろう」
そのレストランはわたしの記憶のままだった。わたしたちは海を一望する窓辺の席に座る。
あの時のわたしはまだ若かった。大学を出て間も無くだったから二十三歳ぐらい。
あれからもう十年経つんだ。そう思ったとたん、失われた時は取り戻せないという痛切な思いに胸の奥が痛んだ。
もしもあの日に戻って彼とのことをやり直せたなら、絶対にこんなエンディングにはしないのに。

