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愛の終わりは最高のデートで幕を下ろそう
第1章 愛の終焉

リビングのローテーブルを挟んで夫と向かい合いふたりで微笑み合う。不思議な感じだ。離婚の話をしているのにこんな・・明るい声を出すなんて。
こうして夫と落ち着いた気持ちで話すのは本当に久しぶりだ。いつも仕事のことで頭がいっぱいだったから、膝を突き合わせてじっくり相手の話を聞く気分にならなかった。それは彼も同じだろう。
ふと今の状況を見失った。
どうして目の前の優しい笑顔の夫と別れなければいけないのか分からなくなった。
この静かで平和な時間がとても愛おしくなり、締め付けられるように胸が苦しくなる。
そしてまた、わたしたちは取り返しのつかないことをしようとしているという予感めいた焦りと恐怖に襲われた。その感覚は、例えば闇の中で両側が切り立った崖の上の細い道を歩き出そうとしている・・そんな心細さを伴った恐れと言えば、この時のわたしの思いが伝わるだろうか。
こうして夫と落ち着いた気持ちで話すのは本当に久しぶりだ。いつも仕事のことで頭がいっぱいだったから、膝を突き合わせてじっくり相手の話を聞く気分にならなかった。それは彼も同じだろう。
ふと今の状況を見失った。
どうして目の前の優しい笑顔の夫と別れなければいけないのか分からなくなった。
この静かで平和な時間がとても愛おしくなり、締め付けられるように胸が苦しくなる。
そしてまた、わたしたちは取り返しのつかないことをしようとしているという予感めいた焦りと恐怖に襲われた。その感覚は、例えば闇の中で両側が切り立った崖の上の細い道を歩き出そうとしている・・そんな心細さを伴った恐れと言えば、この時のわたしの思いが伝わるだろうか。

