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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
「どうですか先輩。試しにこれからその店に行ってみませんか」美緒を見つめながら槙野が繰り返す。その顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。

誘いを断るつもりで口を開きかけたが、一人でさっさと帰ってしまった島田の背中が思い出され、実際に口にした言葉は「いいわよ」の一言だった。

「よかった!」槙野が破顔する。そのあどけない無防備な表情に、意外なものを見た驚きと、胸の奥に微かに波立つ感情を覚え、美緒は笑顔の彼に対し戸惑いの表情で応えた。
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