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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体

結城美緒(ゆうきみお)は彼の熱い身体を抱いて、その重みを感じながら気怠い余韻に浸る。彼の名は島田克之(しまだかつゆき)。美緒の10歳上の37歳で、セクションは違うが同じ会社の上司である。
島田とは平日の午後にしか会えない。人目を避けて、まだ陽の高いうちからホテルで身体を重ねるのが美緒の愛だった。
二人が男と女の関係になって間もなく2年になる。きっかけは、あるプロジェクトでセクションを跨る企画が持ち上がり、その打ち合わせや会議で顔を合わせるうちに何となく、いうもので劇的な出会いという訳ではない。
少しイレギュラーなことといえば、島田が妻子ある既婚者だったという点だが、"別に珍しくもないわ" と付き合い始めた頃の美緒は思っていた。
"不倫"という言葉は実感が湧かなかった。最初から島田が結婚していることは知っていたし、肌を合わせるような関係になった男が、たまたま既婚者だっただけのこと。
島田とは平日の午後にしか会えない。人目を避けて、まだ陽の高いうちからホテルで身体を重ねるのが美緒の愛だった。
二人が男と女の関係になって間もなく2年になる。きっかけは、あるプロジェクトでセクションを跨る企画が持ち上がり、その打ち合わせや会議で顔を合わせるうちに何となく、いうもので劇的な出会いという訳ではない。
少しイレギュラーなことといえば、島田が妻子ある既婚者だったという点だが、"別に珍しくもないわ" と付き合い始めた頃の美緒は思っていた。
"不倫"という言葉は実感が湧かなかった。最初から島田が結婚していることは知っていたし、肌を合わせるような関係になった男が、たまたま既婚者だっただけのこと。

