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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
しかし、周囲はそう思ってはくれない。だから、こそこそと人目を避けるように逢瀬を重ねるしかなかった。

週末や休日は家庭のある島田には自由な時間はないから、お互いのスケジュールを合わせて月に一回か二回、有給休暇を使って仕事を休み、平日の昼から夕方までホテルのベッドで愛し合う。ホテルは会社のある街から急行電車に乗って10分ほど離れた場所にある。そしてつかの間の午後、美緒を抱いた男は妻の待つ家へと何事もなかったかのように帰って行く。

自分は何をしているのだろう、と最近になって美緒は思うようになった。なぜこそこそと隠れなくてはいけないのか。週末も他の日でも一日中二人で一緒に過ごして、もし叶うなら一緒に朝を迎えたい。
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