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感情のない世界 // 更新される景色
第4章 を
「座ってよ」
先に腰を下ろして、催促する君。
さっきまで泣いていたその顔は、すでに何かを心に決めていた。
僕は君の隣に座る。
それと同時に手を重ね──指を絡めた。
ベンチの向かいにある遊具では、幼稚園帰りだろうか…、子供たちが遊んでいる。
その横で子供たちの母親が見守っている。
その母親は君と同じくらいの歳だった。
遊ぶ子供の声が平和に響くこの公園で…
固まっていた君の表情も、少しだけ穏やかになる。
そうか、君は子供が大好きだったよね。
いつもこの公園で遊ぶ親子を眺めて──羨ましそうに目を細めていたような。