- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
感情のない世界 // 更新される景色
第4章 を
逃げ道を進んだところで、解決はない。
役立たずの…老いた身体が残るだけ。
「あなたは嫌がるだろうけど…それでも」
「…どうして、だい?」
「少しでも長く、あなたと一緒にいたいからよ」
「……っ」
ああ、何故
君は物事を合理的に考えない?
僕の頭を支配するカタカタと五月蝿い音が、一段と大きくなった。
「病院の先生が言ってたじゃない! 初期化すれば今の状態も回復するし、あと五年は大丈夫だろうって」
「でも五年後にまた、僕は同じ事を繰り返す」
「…そうしたらまた初期化すればいいのよ」
「それは…君の心が、疲れるだろう?」
「……たぶんね」