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感情のない世界 // 更新される景色
第4章 を
カタカタカタカタ....
頭の中の音が爆音に近くなってきた。
まるで僕の身体が勝手に、全てを忘れる準備を始めたみたいに。
「初期化…した後は」
その音に負ける小ささで、僕が声を出す。
「一度は忘れたとしても……必ず僕は、君を好きになるから。だから、待っていてくれるかい」
幸せな未来をいらないと言った君に、僕はもう口を出せない。
幸せの獲得よりも、悲しみからの逃避を選んだ
そんな君を…僕は尊重しなくちゃいけない。
だったらせめて、全ての記憶を失った後も君の側にいたいと願うよ。
今の僕にとっては、まだ
君が世界で一番、魅力的な人だから。