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感情のない世界 // 更新される景色
第4章 を
意外だった。
何よりも感情的に走りがちな君が、冷静な分析をしていたらしい。
二つの選択のうちの、どちらがより悲しくないのかを。
悲しいという感情がわからない僕には辿り着けない答えだが、君は、その分析を終えたようだ。
それ故の──選択なのか。
「僕の……計算では」
「……」
「僕という荷物を捨てたほうが君は、幸せな家庭と、幸せな未来を手にする確率が…上がるんだ」
「いらないわ」
幸せ、という曖昧な言葉を使った僕の言い分を
ばっさりと切り捨てた君の意思は、曲げることができなかった。