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感情のない世界 // 更新される景色
第4章 を
でもこんな…
こんなお願いをされたのは初めてだった。
マスターでない君を愛せるかなんて
そんな過去最大の無理難題を、このタイミングで言ってくるだなんて。
“ そんな君だから……、僕は不安なんだ ”
僕は抱き寄せていた肩を少しだけ押し戻して、君と目を合わせた。
君は…自分で頼み事をしておいて
僕の返事を聞くのをためらうように、肩を強張らせていた。
僕はもう一度 微笑む。
「わかった。…約束、する」
約束。
僕がこれから更新されようとしている今、最も曖昧なこの言葉
この言葉を使った僕は、やっぱり卑怯だね。
でもこれを聞いた君は、安心して笑い返してくれた。
…いや
安心したふりをして、笑って見せてくれた。まどろむような目を向けて。
カタカタ、カタ、カタ、カタ....
カタ
おや、変だな