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もしもシリーズ〜自作品のキャラ達のラブシーン満載。
第8章 聖なる夜に悦なる慈悲を
「そこで何をしている」
「……っ…」
ルナは思わず肩を竦めた。
高いビルに囲まれた中、寒空のベランダで夜空を眺めるルナを後ろから不意に抱き締めて、驚いたその表情をグレイは軽く覗きこんだ。
「な、なにもっ…」
焦りからか言葉がどもる。
咄嗟に目を反らしたルナの見つめていた方向をグレイは眺めて瞳を微かに緩めた。
「聖夜(イブ)か──」
「……っ…」
グレイのため息混じりの囁きにルナはビクリと身を硬くする。
怒りを買ったかもしれない──
そんな不安と小さな恐怖がルナを震わせた。
「寒いか?」
ルナの思いとは逆に、背中を庇うように抱き締めた腕に優しく力を込められてそう問われた。
目を見開いたルナはその顔だけをグレイに向ける。
「──……」
「そんな筈はないな……」
自分の問い掛けにグレイは自身で答えていた。
「怒らないの?」
「なぜ怒る必要がある?」
恐る恐る訊ねたルナにグレイは逆に聞き返す。そしてふっと笑みを浮かべるとルナのうなじに唇を押し付けた。