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もしもシリーズ〜自作品のキャラ達のラブシーン満載。
第8章 聖なる夜に悦なる慈悲を
甘く吸い付く音が肌で鳴る。
「この国の人間はキリストを讃えて祝っている訳じゃない──」
グレイは唇を押し付けてそう口にする。
ルナはその言葉に素直に驚くと、グレイから送られる愛撫に吐息を漏らした。
冷たい外気は何も感じない──
魔物になってからは夏になっても冬になっても暑さと寒さを感じることはなくなった。
周囲の目を気にして季節に合わせた服装を整えてはいるが、胸の前で組んだ手は寒いからではなく人であった頃、純粋に神に祈りを捧げ続けていたルナの自然な仕草だった。
だが、不思議にもこういった肌の重なる熱だけは敏感過ぎる程に反応してしまう。
ほどこうとした手の動きをグレイに止められて、その上から包み込まれるようにして握られる。
ルナはグレイのその仕草に胸を疼かせた。
「哀れだがここには純粋にイエスの誕生を心から祝う人間が居ない──」
「…あっ……」
「ならばお前一人くらい祈ることを赦してやってもいいだろう……」
カリッと甘く歯を当てて、グレイはルナのうなじを軽く咬む。
純粋に祝うことをしない……
それはいったいどういうことなのだろう──
グレイの言葉を考えながら、ぞわぞわと痺れる感覚にルナは頬を上気させた。