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またいつか貴方と
第25章 生きてるよ
私の鼻をすする音を聞いてお母さんが
近づいてきてくれて
病室にいるから二人でゆっくり過ごしな?と
聡くんと二人きりにしてくれた。
聡くんは少し上半身を起こしたベッドから
視線だけを私に向け優しくこう言った。
「沙綾?おいで。」
夢じゃない。聡くんが目を開けてこっちを見て
おいでって言ってくれた。
私はグズグズ泣きながら聡くんの方へと近づく。
そしてまだ点滴やたくさんの機械が付いていて
酸素マスクをしているけど…
顔も傷があり頭には包帯
手足はギプスで固められているけど…
しっかりと開いた目はいつもの聡くんの目だッ。
「聡くん…ッ…う...っ」
「沙綾動けないからもっと近くに来て手握って?」
私は椅子のところまで行き
聡くんの手を優しく触った。
うん…
温かい。
指先も動いている。
「よかっ、た...」
「俺も。沙綾が居てくれてよかった。」
聡くんは指で私の掌をツンツンと触っている。