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嘘やろ!?
第9章 夏休み



あはは…。

笑うちゃう。

透を助ける?

普通の学生の沖田さんすら助けてやれへん私が特別な透を助けるなんて絶対に無理やん?

泣きたいけど学校やから笑うしかない。

疲れた…。

こんなに疲れた学校生活は教師をやって初めての経験だった。

学生達と同じように早く夏休みになってくれとばかり考える。

梅雨が明けた。

学校は後10日ほど…。

ひたすら成績表の評価を付ける毎日…。


「楠木先生…、うちのクラスの園田ですが…。」


職員室で中野先生が嫌な顔をして話掛けて来る。


「なんですか?」

「この英語の評価…、もうちょいなんとかなりません?」


はぁ?

評価は評価やろ?

そんな当たり前もわからんのか?

中野先生にそう言いたくなる。

園田さんは比較的に大人しい子。

だけど軽い学習障害があると学校側は判断してる。

問題は保護者…。

過保護で何かあるたびに学校へ乗り込んで来ては


『うちの子は努力をしてるんです。だけど学習障害があるから、それがなかなか実らないだけなんです。そこも踏まえた上で評価をして貰わないとうちの子が傷ついて学校に行きたくないと言うんです。』


と不登校をチラつかせて騒ぎ立てる。

だから中野先生は私が付けた2の評価を3にして保護者を誤魔化したいと言う。


「無理です…。園田さんを3にするなら学校中の学生が5の評価になりますから…。」


中野先生に冷たくそう言うしかなかった。


「しかし…。」

「学習障害があるとわかってるなら、尚更、その評価はいい方やと思って貰わないと困ります。これで授業態度が悪ければ間違いなく1判定で留年が決定して当たり前なんですから…。」


厳しい言い方で中野先生を突き放した。



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