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嘘やろ!?
第9章 夏休み



そもそも、義務教育ではない高校で不登校をチラつかせる保護者に振り回される方が間違いや。

不登校になれば留年をするか退学するしかないんが高校という仕組みである以上、ギリギリのラインで守ってやってる教師に対して有り難いというくらいの気持ちを持って当たり前だ。

中野先生が私を睨む中でひたすら評価査定を決めて成績表を付けて行く。

中野先生だって私の事は言えない。

透の化学の評価は常に3だ。

学年トップの成績とはいえ、提出物が皆無である事と授業態度の悪さから出した評価だと中野先生は居直るはず…。

本来なら4評価である透を3評価に蔑む事で中野先生は教師として透を支配してる自己満足を得てる。

他の教員評価はほぼ4の透…。

意外だったのは美術の評価が5だという事。

逆に体育は出席日数がギリギリで2の評価…。

なんとなく美術担当の教員室へと向かってみる。

白髪頭のおじいちゃんな美術の荒井先生…。


「えーっと…?」


私の名前が出て来ないらしい。

接触の少ない教員同士だとそういう事はたまにある。


「3年の吉岡君の担任で英語教員の楠木です。」


私が頭を下げると荒井先生が穏やかな笑顔をした。


「吉岡君ですか…。」


生徒に対してはしっかりとわかっているらしい。


「ちょっと評価の事で気になったので…。」

「変な評価をしてましたか?」

「いえ、吉岡君は他の教科は授業態度と提出物の問題で5評価はなかなか貰えないんです。」


私の言葉に荒井先生はなるほどという顔をする。


「1年の時ですわ。作品は自分のペースで描くものやと彼に教えたんですわ。彼はいわゆる天才タイプの子ですよね?だから、描いて提出さえすればどれだけ寝てても評価をしてやると約束をしてやったんです。」


荒井先生が懐かしそうに話をしてくれる。



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