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嘘やろ!?
第9章 夏休み



「楠木先生はうちの学校をどう思います?」


唐突な荒井先生の質問にどう答えるか迷ってまう。


「ただ単に頭が悪いから仕方がなく来てる子は半分以下やと僕は思ってます。本当はやれば出来るのにやらない子供が多いだけやと…。ならば、その子に合わせて、その子がやって来たものを評価してやりたいと思うんです。」


美術という世界だから出来る評価だと納得をする。

授業態度が悪くても作品さえきちんとしたものを出せばどんな子供だろうと5の評価を付けたると荒井先生が言う。


「吉岡君はダヴィンチです。天才ゆえの作品をあの子は毎回ちゃんと提出して来ます。週2時間しかない中で凄いと感じさせる作品を僅か1時間で仕上げて来るんですわ。だから残りの授業時間をあの子が寝てても僕は5の評価に値する子だと思ってます。」


荒井先生の言葉に納得させられる。

同時に副学園長や荒井先生のように透を理解してくれてる先生方がいる事を嬉しく思った。


「ありがとうございます。」


何故か私が荒井先生に頭を下げた。


「吉岡君の将来…、楽しみですね。」


荒井先生がいつまでも穏やかな笑顔で私を見ている。

透の将来…。

担任としての責任を果たさなければ…。

夏休みはちゃんと話し合うべきだと考えた。






終業式…。

成績表を配り終礼を済ませる。


「毎年聞いてる言葉やとは思うけれど、くれぐれも問題を起こして自分の将来を傷つけるような事はしないようにね。」


最後の最後まで生徒達に口煩く夏休みの生活についての注意をする。

ここまで来て退学になるとか、そんな事だけは避けたいと願うから、ついつい熱が入ってまう。

うんざり顔の生徒達を解放して私の夏休みが始まってしもうた。


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