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嘘やろ!?
第2章 イケメン君
Barという照明の薄暗い店でメガネをかけているからわかりにくいけれども、とても綺麗な顔をしたイケメン君だと思う。
まさに目の保養…。
銀行マン風イケメン君に年甲斐もなくぼーっと見とれてドキドキとしてしまう。
「では、朱音の失恋にカンパーイ!」
ご機嫌な声で千里が言う。
「ちょっと!?止めてよ。」
慌てて千里の口を塞いでからミモザを口に流し込む。
綺麗な顔のイケメン君がクスリと笑って私達のテーブル席から離れた。
せっかく自分好みのイケメン君だったのに、みっともない失恋を知られちゃった…。
じろりと千里を睨む。
「いいじゃん。どうせ新しい恋を見つけたら失恋をした事なんかラッキーだったとか思うよ。」
失恋ベテランの千里が言う。
結婚間近の結愛が呆れている。
失恋したばかりの私はため息が出た。
あれから何杯くらい飲んだかは忘れた。
「ねぇ、朱音…、終電が終わるから帰ろうよ。」
「あー?帰れ帰れ!今から結婚で幸せになる女にもう用はない。」
かなり酔っていた。
失恋をした私は飲まないとやってられない気分だ。
今はお酒の力を借りて1人で過ごす週末の辛さから逃げたくなる。
だから、そういう空気を読むのが苦手な結愛にはイライラとする。
「わぁ、慎ちゃんが来たぁ。」
マイペースな千里の方は遅れてやって来た小さくて可愛らしいバーテンダーに夢中だ。
「朱音…。」
気の小さい結愛が心配そうに私を見る。
ますますイライラとした。
「幸せな結婚が決まっている結愛に何がわかる?そりゃ私も色々と悪かったかもしれないけどさ。でも私は教師になりたかったんだよ。主婦になりたくてわざわざ大学に行ったんじゃないんだよ。」
何故か隆也への文句を結愛に愚痴ってた。