この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第10章 芸術と科学
単純な千里に説教じみた事を思わず言うてまう。
「なら、慎也さんの事は早く白黒付けて、ちゃんと千里に合う恋愛を探しや。」
「わかってるもん。」
いじけてカクテルを煽る千里を店に残して透の部屋に帰った。
千里に偉そうに言いながらも透の部屋という水槽から出られない息苦しさの中で恋愛をしてる…。
それでも透と居たいと選んだ理由を考える。
辛いとわかってんのに千里はBarに通う。
私は何故透を選んだ?
答えが出ないままいつの間にか眠ってた。
夢の中で溺れた。
息が出来ん。
口を開けて一気に息を吸い込んだ。
目を開く。
「あがっ!?」
透がクックッと笑ってる。
鼻を透が摘んでやがる。
「あに、すんねん!?」
「乳を揉んだくらいじゃ起きへんからや。」
見るとパジャマのボタンが外されてる。
「朝から猿すんなや!」
「猿の為に起こしたんとちゃうぞ。」
そう言いながら私の頬にキスをする。
「ほなら、なんやねん?」
「出掛ける…、付き合え言うてたやろ?」
透とシャワーを浴びてサンドイッチとコーヒーで朝食を済ませたら透と出掛ける。
「眠くないんか?」
「行きたいのは俺やから寝てられるか…。」
透が笑うから透に任せるしかない。
車で透が向かったのは京都…。
大阪からは空いてたら高速で小1時間もあれば着く。
「なんでわざわざ京都や?」
大阪じゃデートなんか無理なんはわかってる。
「観たいもんがあるだけや。」
ニヤニヤと笑う透が向かったのは国立美術館だった。
丁度盆休みまでの期間でルネサンス期の絵画展をやってる。
「これが観たいやつか?」
「そうや。あかんのか?」
絵画展を観る透のイメージが湧かへん。
荒井先生は透をダヴィンチだと言うたけど…。
芸術と透の関係が今ひとつピンッと来ない。