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嘘やろ!?
第10章 芸術と科学
2人でくじ引きをした。
まずは私から…。
くじ引きの担当をしてたお姉さんにカランカランと派手に金を鳴らされた。
「おめでとうございます…。特賞です。」
お姉さんが大袈裟に声を出す。
要らん!
私が欲しいんは中くらいの奴で迷惑なくらいにデカイ特賞は要らんのや!
叫ぶ前に私の手には馬鹿でっかいイルカが押し付けられる。
透が知らん顔でくじを引く。
ニヤリとしやがった。
「おめでとうございます…。」
お姉さんが言う。
私が欲しかったサイズのイルカを透が貰ってた。
「透っ!交換してっ!」
「あほか、そんなごついイルカは要らん!」
「透っ!」
「やかましい…、自分でゲットしたんやから自分で責任を持て…。」
「透ぅ…。」
イルカが大き過ぎて歩きにくい。
「両方を朱音にやるから…。」
透がため息をついて私から巨大なイルカを取り上げた。
ご機嫌で透が取ってくれたイルカを抱く。
「あの狭い部屋にこのデカイ奴を置くんかよ…。」
透はずっと巨大イルカに愚痴を零し続けた。
日が暮れる。
「帰るぞ…。」
透の言葉に悲しくなる。
帰ったら透は仕事…。
「そんな顔はすんなや。」
帰りの車でずっと透が私の手を握ってくれる。
透の前では子供になる私…。
透があまりに大人過ぎて寂しくて悲しくなった。
帰ってから透が仕事に行き、私は欲しかったイルカではなく要らんと思った馬鹿でっかいイルカを抱えて眠った。
深夜に目が覚めた。
「イルカと浮気すんなや。」
そう言った透が笑ってる。
「なら、透がそばに居てや…。」
寝ぼけてそう言い返した。
「そのうちな…。」
そんな返事が聞こえた気がした。