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嘘やろ!?
第11章 プライド
「少しは病人らしくしてや…。」
ベッドに腰掛けて透に文句を言いたくなる。
「熱だけやで?熱が下がったら終わりやんけ。」
イルカを抱いて透が言う。
「イルカを返せ…。」
「妬いてんの?」
「妬けへんし。」
「妬けや。」
イルカの代わりに私を抱く。
「たまには妬いてくれや。」
透の言葉が重かった。
多分、熱のせいや。
いつもクールな透が切羽詰まった声を出すと焦って来る。
「妬けへんわ。透を信じとるからな。」
ただ透を安心させてやりたかった。
「そうか…、なら…、ええねん。」
私の額にキスをして透が笑う。
そのまま抱き合って2人で寝る。
薬が効いて来た透が静かな寝息を立てている。
今は透が寝てる事に安心をする。
寝てばかりの透は嫌なはずやのに寝てると何故かホッとする。
透…。
好きや…。
だから無茶だけは止めてな…。
寝てる透にそんな事を祈ってた。
「暑うっ!死ぬわっ!」
朝に飛び起きて透から離れた。
エアコンも無しに透と抱き合って寝たら全身が汗だくで目覚める羽目になる。
ダッシュでシャワーを浴びて学校に行く用意をする。
「帰りになんか買うて来たるから大人しく寝ててや。」
そう言うて部屋を出ようとする私に透が嫌な顔をする。
「後3日で終わるから…。」
「わかってる。」
キスをして熱がまだ残る透を残して部屋を出た。
なんとなくお互いがわかってる。
私が仕事を辞めるか…。
透が仕事を辞めるか…。
そのどちらかを選ばなければ透と私は暮らせない。
無理をすれば今回みたいにどちらかが身体を壊す事になる。
学校に出勤をしてため息が出た。