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嘘やろ!?
第12章 繁殖
パンダよりも透を見る。
私だけやなく何人かの見知らぬ高校生くらいの女の子も透を見てんのがわかる。
いつもそう…。
透と出掛けると感じる視線…。
猫みたいな目。
綺麗な肌。
整った顔。
頭…、小さいし…。
高い背に長い足。
平気で私を見下ろして来る。
やっぱりカッコいいし…。
モデルとか出来そうな透…。
「暑いからアイスでも買うたろか?」
私の髪に顔を埋めるようにして聞いて来る。
自分が透に不釣り合いかもと自信を失くすと必ず透が強く私を引き寄せる。
逃げようとする私を逃がさない透…。
アイスを買うて貰ろうて適当に動物を見て回る。
サファリの予約時間が来た。
ファミリー用のジープみたいな車にサファリの専用ガイドが付くオプション。
運転もそのガイドさんがしてくれて、通常のコース以外のエリアにも連れてってくれる。
草食動物のエリアでは通路を外れて動物の宿舎までジープが向かう。
ツアーには私達を含めて3台のジープが参加してるらしい。
他の家族やベタベタのカップルがジープから降りて来る。
「サイや!」
家族連れの中に居た小さな男の子が叫んだ。
サファリのガイドさんがニンマリとする。
「そうです。皆さんにはサイの餌やりを体験して頂きます。」
嘘やろ!?
巨大なサイがガイドさんに近付いて来る。
サイの足元には低い岩で出来た囲いがある程度でほとんど柵なんかないような状況やのにサイは大人しく餌を貰ってガイドさんに撫でて貰ってる。
「僕も触るー!」
男の子だけが夢中になってる。
マジか!?
ちょっと怖いぞ。
そう思う私を透がニヤニヤとして見る。
「サイは歯がないから簡単には噛まれないぞ。」
透の言葉になるほどと思う。
入れ歯を外したおじいちゃんみたいな口を感じさせるサイが大人しく餌を食べる。
ほんまに危険ならこんなツアーは参加は出来ないと思うけど、これはこれでかなり貴重な体験が出来るツアーなんだと思う。