この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第12章 繁殖
透が私を引き寄せながらサイに餌を与える。
サイが首を突き出して来るから、その隙にサイの角や頬を撫でてみる。
ゴワゴワや。
岩みたい…。
フフフッと笑ってまう。
「大人しい子やな。」
「賢いからやろ?」
透がそう言う。
確かに学生も賢い子は大人しい子が多いと感じる。
ただ賢い子ほど人付き合いを避ける子も多い。
私に貴重な体験をさせてくれる透にもっと学生らしい体験をして欲しいと思った。
ジープは次のエリアへと進む。
肉食のエリア…。
「ヒィッ!?」
小さく叫ぶ。
クスクスと透が笑う。
だけどさっきまで元気だった小さな男の子も父親にしがみついてる。
小さな宿舎…。
金網に囲まれた細長い通路。
私達の方が檻に入ってる気分になる。
周りにはライオンの雄や雌が金網越しに鼻を近付けては私達の匂いを嗅ぐ。
グルルルル…
そんな唸り声が聞こえると鳥肌が立ち、本能的に逃げようと思うのに身体が強張って動けなくなる。
「ライオンの餌やりです。」
ガイドさんはニコニコとしてバケツに入った生肉を見せて来る。
「これは絶対に指先に気を付けて下さいね。間違うと指ごと食べられてしまいますから…。」
そんな注意を聞かなくてもライオンの餌やりだけはお断りだと言いたくなる。
ベタベタカップルの男が震える手で餌やりに挑戦をする。
檻越しとはわかってても生肉に
ガゥッ!
と牙を向くライオンに竦んでまう。
ベタベタカップルの男がトングで掴んでた生肉を通路の床に落とす。
「相当な力みたいだな。」
状況を確認した透が餌やりを始めた。
「透…。」
「大丈夫やて…。」
透は表情を変える事なく器用にライオンへ生肉を食べさせる。