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嘘やろ!?
第12章 繁殖



単純に透が好きやから一緒に居たいんやと言えれば、もっと楽に生きられるんちゃうかと考える。


「朱音は可愛いから馬鹿でええよ。」


私の頭を撫でて透が言う。


「やかましい!馬鹿にすんな!」


シャチのショーが終わったから透からそっぽを向いて歩き出す。

私の手を透が掴む。


「はぐれたら恥ずかしいやんけ。」


大人の顔をして笑う透が嫌いだと思った。

透よりも大人になれない自分がもっと嫌いだと思った。

サファリパークを出たら日が暮れる。


「急がんとやばいな。」


そう言って透が車を走らせる。

白浜じゃ有名な温泉旅館。

ここに2泊すると透が言う。


「贅沢やな。」

「そうか?」


普段時間が取れないのだから、ゆったりと余裕のある旅行がしたかったと透が笑う。

遼さんとの旅行はぎゅうぎゅう詰めの旅行ばかりらしい。


「遼さんも旅行とかすんの?」

「だから…、店の慰安旅行な。ただし、店が終わったらそのままスタートして、あちこちを無理矢理に観光して飯も5回くらい食うて1泊だけして帰って来たらまた店ってとんでもない旅行やぞ。今年は朱音も連れて行くから覚悟しとけや。」


透の言葉に驚愕する。

すみません…、私は店の人間じゃないので慰安旅行はお断りします。

そんな事を言い合いながら部屋へと案内をされる。

和室にベッドルームまである。

シングルが2つ…。


「久しぶりに狭いベッドじゃない。」


つまらん本音を言うて透にゲンコツを受けた。


「恥ずかしい事を言うな。」


マジで透が怒って睨んでるから話を逸らす事にする。


「なぁ…、慎也さんって…、もしかして彼女とか居るの?」


私の質問に透がかなり嫌な顔をした。


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