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嘘やろ!?
第12章 繁殖
「千里さんの為か?」
透が私を抱っこして聞いて来る。
「うん、千里…、惚れやすいからな。その気がある素振りされたら、すぐに夢中になるんや。」
「慎也さんな…、元々嫁さんが居んねん。」
透の言葉に固まった。
「奥さん!?」
「元々、慎也さんはサラリーマンやったからな。その務めてた会社が倒産したからアルバイトでうちの店に来たんや。」
店の…、しかも個人情報だから、あまり話をしたくない事を透が私に話す。
職を失った慎也さんと奥さんは離婚を考えるまで険悪になったらしい。
なのに、そのタイミングで奥さんの妊娠が発覚した。
そのまま、子供の為にとズルズルと離婚を引き伸ばし、慎也さんはズルズルとBarで働いてる。
「つまり、千里が恋愛をする余地は無しか?」
「親父は嫁さんの問題がハッキリと出来ないのならお客に変な気を持たせるなと慎也さんを叱ってた。」
だから慎也さんが急に冷たくなったと千里がいじけてたのだと理解をした。
「千里の事はどう思ってんねやろ?」
「嫌いじゃないとは思う。けど、慎也さんの場合は嫁さんよりも子供が可愛いらしい。今は1歳になったばかりやから尚更可愛いって言うてた。」
子供が相手なら千里に勝ち目はないな。
諦めろ…。
新しい恋を探せ…。
そう千里に伝えてやりたくなる。
「俺から聞いたとか言うなよ。」
透が気まづい顔をする。
「口止め料寄越せ…。」
冗談で言うと透がキスをしてくれる。
やっぱ、キス上手いな…。
頭がぼんやりとした瞬間…。
「失礼します。」
旅館の仲居さんが夕食を運んで来るから慌てて透から離れてた。